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三木たかしさん 追悼特集
三木たかしさん 追悼特集
三木たかしさんが手がけた劇団四季の音楽
劇団四季との初めての仕事となったのは『ジーザス・クライスト=スーパースター』(エルサレム・バージョン)の編曲でした。当時の様子を三木さんはこう語っていらっしゃいます。

「きっかけは、日生劇場での再演をやるときに、四季の音楽監督だった渋谷森久さんから手伝ってくれないか、と誘われたことです。日生では演出がいわゆるエルサレム版に変わって、初めてテープ音楽を使ったんです。その録音のスタジオワークをちょっと。アンドリュー・ロイド=ウェバーのオリジナルスコアは絶対にいじれませんから、細かいリズムセクションのニュアンスをアドバイスしたり、リズムパターンのアイディアを提供したりしました。」(1999年8月号「四季の会」会報誌「ラ・アルプ」より)

ミシェル・ルグラン楽曲との出会いから音楽の道を志し、昭和の大作曲家・吉田正氏に師事した三木さん。ロイド=ウェバーもその頃に影響を受けた音楽家の一人だと語ります。

三木さんにとって初めてのオリジナルミュージカルの作品は、『ユタとふしぎな仲間たち』。舞台は東北、あたたかい南部弁が飛び交うこの物語では、主人公・ユタと「座敷わらし」との出会いによって、ユタが体も心もたくましく成長してゆく姿が描かれています。“生命の大切さ”、“人を思いやる心” --この物語がもつメッセージは、今も日本中の子どもたちに感動を与えています。

あらゆるメロディーを駆使して名曲を創り上げていた三木さん。この作品でも才能を如何なく発揮します。しかし意外にも楽曲製作時には相当悩まれたようです。東北地方という風土に合うメロディーは何か。ただでさえ日本の風土に合う音楽パターンは少ないため、試行錯誤の日々が続いたと言います。しかしその紆余曲折を経て、ミュージカル史に残るナンバーをいくつも紡ぎだしました。

その後1991年1月には、東京・青山劇場で初演されて以来、日本全国で上演を重ねてきた『ミュージカル李香蘭』を手掛けられました。中国、シンガポールでも上演され、国内外から圧倒的な反響を呼んでいます。

昭和初期を舞台としたこの作品では、戦争へと向かってゆく激動の時代の中で、運命を狂わされた人々の姿が描き出されます。

この作品で三木さんが書いた曲は延べ200曲にものぼりました。しかし実際に使ったメロディパターンはたった30曲程度。選りすぐられた名曲は、この作品の大切な要となっています。
(参考資料:『劇団四季半世紀の軌跡―62人の証言』より)
 
三木たかしさんの作曲・編曲による、劇団四季の上演作品
演上演年 公演名
1976 ジーザス・クライスト=スーパースター〈エルサレム・バージョン〉 編曲
1977 ユタとふしぎな仲間たち※ 作曲
1977 わが青春の北壁 作曲・編曲
1978 王様の耳はロバの耳 編曲
1984 ユタ−座敷わらしと少年の不思議なミュージカル※ 作曲
1985 ドリーミング※2 作曲
1987 夢からさめた夢 作曲
1988 35ステップス Singing&Dancing 編曲
1988 新・はだかの王様 作曲
1988 夢から醒めた夢 作曲
1989 ユタと不思議な仲間たち 作曲
1991 ミュージカル李香蘭 作曲
1992 ジョン万次郎の夢 作曲
1993 夢から醒めた夢(改作) 作曲
2001 ミュージカル異国の丘 作曲
2003 青い鳥※2 作曲
2004 ミュージカル南十字星 作曲
※  同一公演  曲目に変更点がございます。
※2 同一公演  一部を三木さんが手掛けていらっしゃいます。
 
ありがとう 三木たかしさん
訃報を聞き、信じられない気持ちです。
彼ほど美しいメロディーを持った作曲家はいませんでした。50年に一度、出るかどうかの才能を失ってしまった。
本当に残念でなりません。
青山弥生
ご永眠されたとの一報に、大変驚きました。
先生とは1984年、青山劇場での『ユタ』にて初めてお会いしました。先生の曲には、心にしみわたる美しいメロディーラインにのせて、優しい調べでありながら力強い、「生きる」というメッセージがあります。それが私の胸に深く突き刺さりました。役作りで悩んだ時には、先生の曲を聴いてイメージを膨らませ、勇気づけられた回数は数え切れないほどです。
これからも多くの人々の心の中で三木先生のメロディーが響いていくことを信じてやみません。心より、ご冥福をお祈りいたします。
阿久津陽一郎
先生、覚えてらっしゃいますか?『ミュージカル南十字星』の初演の稽古の時、僕達の所に来て下さって、「どういう感じのものを歌いたい?」と聞いて下さいましたよね?僕達は浅はかにも少ない思考を巡らせて提案させていただき、数日後、僕達の想像をはるかに上回る心に響くメロディーを持ってきて下さいました。リナと兵士達が歌うあのメロディーは、三木先生が心の中に大きな翼を持って、時代や人種や、そして様々なものを包み込む流れを僕達に「感じて」もらえる様に作って下さったのだなぁと、今しみじみ思います。
訃報を聞き、「もっと色々なことを教えていただけば良かった」と後悔しました。ただただ残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。
荒川 務
三木先生には、入団以前、僕が歌手活動をしていた頃にも曲を書いていただいたことがありました。実際にお目にかかったのは、『夢から醒めた夢』初演初日パーティでのことでしたが、その時に「僕、荒川くんの曲を書いたことあるよ。これからもまたミュージカルで曲を書くよ」と仰っていただき、とても光栄に思いました。『異国の丘』も本当に素晴らしいメロディーばかりです。
新しい曲を聞くことが出来なくなってしまい、とても残念でなりません。
いつも優しく微笑みながら私どもに数多くの作曲をして下さった三木たかし先生。心から感謝とお礼を申し上げます。有難う御座いました。
劇団員一同、これからも先生から頂いた素晴らしい名曲と思い出を大切にして参ります。三木先生、本当に有難う御座いました。
木村花代
「心の中にいつも消えない面影が、悲しみに沈む母さんをなぐさめたいただ一度」  
約10年前、マコという役と共に出会ったこの曲が私の俳優としての原点となりました。たとえ生きることが儚くても、その人生を包み込む愛という大きな光がある。そんな光がこのメロディーと共に私の心に舞い降りてきたのです。マコに大きな愛を教えていたお母さんのように、私の心に俳優としての光を点してくださったのは三木先生のメロディーなのかもしれません。
心よりの感謝と共にご冥福をお祈りいたします。
五東由衣
『李香蘭』をはじめ『ジョン万次郎の夢』、『ドリーミング』などで三木先生の作品に出演させていただきました。全ての作品、とても魅力的なメロディーばかり。ただ音域が広く本当に難しい曲ばかりでもあります。でもそれだけに『李香蘭』の様に再演されるものは自分の成長が手に取るように分かります。前回できなかった所が今回はスムーズに歌えるようになった。前回はこういう音色では歌えなかったけど、今回は歌えるようになったなど。今の私は『李香蘭』という作品なくては存在していません。
これからも「昭和の歴史三部作」をお見守りください。そして私の成長も。
芝 清道
三木先生との出会いは22年前『コーラスライン』初演の時でした。出会いといっても当時アンサンブルの三番手だった僕は、恐れ多くて羨望の眼差しで眺めていただけでした。
その後初めてお話をさせていただいたのは『李香蘭』の時、まだ不安で自信を持てなかった僕に、先生の方から「舞台良かったよ、感動した」と仰ってくださいました。あの満面の笑顔にどんなに勇気をいただいたか!その時の笑顔を僕は一生忘れません。
もうお会いできませんが・瞳とじればみえてくる そっとほほえみみつめる・……三木先生。舞台が続く限り、常に先生は側にいてくれます。
野村玲子
子どものためのミュージカルだった『ユタと不思議な仲間たち』を、一般向けに創り直した『YUTA』初演から、三木たかし先生とはお仕事をご一緒させていただきました。 特に『ユタ』で小夜子が歌う「夢を続けて」と『李香蘭』の「二つの祖国」の2曲は、先生の想い入れも大変深く、何度も丁寧にお稽古をつけていただいたことを、昨日のことのように覚えています。三木先生は、いつも穏やかで、優しくご指導してくださいました。「玲子ちゃん、歌はこころだよ」と仰られた言葉が、今でも忘れられません。
心よりご冥福をお祈りし、これからも三木先生の曲を大切に歌わせていただきます。
濱田めぐみ
三木先生の曲を初めて耳にした時の衝撃は凄いものでした。ストーリーをドラマチックに表現するメロディーラインは私を捕らえて離しませんでした。場面の状況とその展開をこうも説得力を持って音楽で表現出来るとは。
お稽古場でお会いした時「先生の曲が難しくて上手に歌えません」と言ったら、ほっこり笑ってくださいました。まだまだ沢山、先生の曲と出会いたかったです。
心より御冥福をお祈り申し上げます。
樋口麻美
私が特にお世話になりましたのは『南十字星』です。この三作品は浅利先生をはじめ、劇団四季が総力を挙げて取り組み、また野村玲子さんら大先輩方が魂を込めて演じていらっしゃる事もあり、私には大きな挑戦でした。そんな私に三木先生は「最後の・ブンガワンソロ・は保科への葬送歌なんだよね」と、とても温かいお言葉を掛けてくださいました。
もう先生の作る音楽には出会えませんが、残してくださった1曲1曲を大切に大切に心を込めて歌っていきたいと存じます。ありがとうございました。
鎮守めぐみ
三木先生とは数々のオリジナルミュージカル製作の際、ご一緒させていただきました。まだFAX等もなく、毎日のようにご自宅まで譜面をいただきに伺い、その日の稽古に取り入れて行った日々を思い出します。何回も書き直しをお願いした事もあり、数え切れない程の曲を四季のために作ってくださいました。
「いいメロディを書きたい。心に残るアジアのメロディを…」すでに多くの名曲を産み出しても尚、先生は常に新しいメロディを追い求めていらっしゃいました。もう一作、いえ、もっともっとミュージカルを書いていただきたかった。本当に残念です。
先生にいただいた作品を、これからも四季の、そして日本のミュージカルの宝物として大切にしていきたいと思います。
 
(掲載順不同)
なお、劇団四季では、6月より8月まで四季劇場[秋]にて上演される“四季オリジナルミュージカル連続上演”(『ミュージカル李香蘭』『ミュージカル異国の丘』『夢から醒めた夢』『ユタと不思議な仲間たち』)を、三木たかしさんの追悼公演と銘打ち、上演させていただきます。
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