アンドリュー・ロイド=ウェバー氏 インタビュー Sir Lloyd-Webber Interview

先日レポートしたロンドンでの『オペラ座の怪人』25周年記念コンサート。同日、公演前にこの作品の作曲を手掛けたアンドリュー・ロイド=ウェバー氏へのインタビューが行われました。自身の名声を不動のものとしたこの作品への思い、日本へのエールなど、たっぷりと語った模様をお伝えします。

"自分のやれることを最善を尽くしてやる"ということ以外、私たちができることはないのだと思っています。アンドリュー・ロイド=ウェバー

まず『オペラ座の怪人』初演から25周年を迎えた感慨を聞かせてください。

「感激もひとしおだし、同時にこの作品をとても誇りに思っています。『オペラ座の怪人』が世界中からこれほどまでに熱い反応を獲得できたのは、驚くべきことだと感じています。また、今回のイベントには私自身まったく関わっていないので、今晩観客と一緒に初めて体験できることをとても楽しみにしています。入り口の係員が"このショウの規模は、ロイヤル・アルバート・ホールの歴史を振り返っても、過去最大のショウの2倍の規模ですよ"と言っていましたからね。人生において素晴らしい夜というものを何度か経験してきましたが、今夜はそんな夜のひとつになるでしょう」

『オペラ座の怪人』を作曲したときの思いや苦労された点を伺わせてください。

多くの作品がそうであるように、この作品もある意味で偶然から生まれました。

「偶然に原作と出会い、ここに面白い何かが潜んでいるのではないかと感じたのです。私と原作が出会ったのがなぜ偶然かといえば、それは原作が歴史的名作というわけではないからです。テーマも曖昧で、殺人小説なのかホラー小説なのか、歴史小説なのか恋愛小説なのか定かでなく、また当時出版された他の作品から様々な案も拝借しています。初めて出版されたときは大衆小説でした。ところが、『ノートルダムのせむし男』の映画化が成功したことで気を良くしたユニバーサルピクチャーズが、それに続くヒット作はないかと当時のフランス文学の中から面白い作品、それもフリークを題材にした作品を探し始めたのです。それにより『オペラ座の怪人』が発見されました。ですから、『ノートルダムのせむし男』の成功がなければ『オペラ座の怪人』の舞台は生まれず、ひとつの大衆小説としてこの世から忘れ去られていたと思います」

あなたの中でこの作品はマスターピースなのでしょうか?

「まずその質問に応えるのは私ではないと思います。加えて、自分の作品というのは子供のようなもので、良し悪しをつけられません。どの作品にもその作品なりの良さがあり、同時に"ああすればよかったなあ"と思う個所があります。『エビータ』や『ジーザス・クライスト=スーパースター』など、すべての作品に書いた当時の特別な状況があり、理由があります。ですが、『オペラ座の怪人』と他の作品の間に違いがあるとしたら、それは一度も手を加えたことがないという点でしょうか。普通、曲というのは、一度書き下ろし、その後何度も何度も手を加え完成させていきます。曲によってそれぞれの歴史があるのです。オペラの名作は、すべてそのように作られてきました。それは、歴史が語っています。しかし、『オペラ座の怪人』の場合は初演から現在に至るまで、一度も手を加えていないのです」

実際に舞台で上演するにあたり、ポイントだと思われるところはどこでしょう?

この作品において最も重要なのは、ファントム(怪人)を演じる男優のカリスマ性とクリスティーヌを演じる女優の技量でしょう。

「ファントムはクリスティーヌに比べると出演時間がずっと短い。その中で強烈な存在感を表現しなければなりませんから、カリスマが必要になるのですね。一方、クリスティーヌは上演中の多くの時間でステージに立つことになります。その分、観客を強く納得させるだけの技量が必要とされます。ある意味、ファントムよりも難しい役だと思います」

『オペラ座の怪人』はミュージカルでありながらオペラのようでもあります。

ミュージカルとオペラに違いがあるとは考えていません。

「私はオペラの作風で作曲しているし、また作品によってはオペラとして上演されています。オペラとミュージカルの間にはっきりした境界線はないと思います。オペラであっても『ラ・ボエーム』のように大衆に人気のある作品はミュージカルと言われることもありますし、その違いは曖昧なものでしょう。例えば、『オペラ座の怪人』のオーケストラパートだけを取り出してオペラとして上演したら、そのままオペラとして成り立つと思いますよ」

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