『美女と野獣』、その愛の原点を探る

『美女と野獣』の原書が書かれたのは、今から250年以上も前のこと。世代を越えてもなお、この物語が人々を惹き付ける理由とは――?

世界中で広く知られ、感動を与えている『美女と野獣』の物語。おとぎ話のようでもあり、大人も魅了するこの物語が書かれたのは、18世紀の半ば、今から250年以上も前のことです。以来、小説・絵画・映画・舞台とさまざまな形で繰り返し語られてきました。語られる時代、社会によって細部に変遷はあるものの、その大筋は250年間変わっていません。では、この物語の何がそこまで人を惹き付けるのでしょうか?原書を紐解きつつ、その世界を探ってみましょう。

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『美女と野獣』は、1740年にヴィルヌーブ夫人によって執筆されたものが最初だとされています。ですが、今日私たちが親しんでいるのは、ヴィルヌーブ夫人版のエッセンスを凝縮し、1756年にボーモン夫人が執筆した、文庫にして30ページ弱の作品です(日本語訳は、ボーモン夫人の童話集として角川書店から出版されています)。

まず、そのあらすじをご紹介します。

あるところに、とても裕福な商人がいました。しかし、不幸にも突然、全財産をなくしてしまい、田舎の村でお百姓仕事をすることになってしまいました。この商人には三人の娘がいましたが、高慢で怠惰な上の二人の娘は、父親の仕事を手伝おうとはしません。一方、二人の姉に比べ器量も気立ても良い末娘のベルは、辛抱強く父親の手助けをし、家の切り盛りをしていました。

そんなある日、遭難したはずの船が一隻、無事に戻ったという知らせを受けて、商人は財産を取り戻すため町へ出かけます。二人の姉は、父親に高価なみやげをねだりましたが、ベルが望んだのはわずかバラ一輪でした。

さて、町に着いた商人でしたが、財産は戻らず、結局無一文のまま村へ帰ることになってしまいました。帰り道、嵐で道に迷った商人は、暗い森の中にある魔法の城にたどり着き難を逃れます。そして、ベルに頼まれたバラを一輪、城の庭園から摘んでしまいますが、この行為が城の主である恐ろしい野獣の怒りを招いてしまいました。野獣は商人に自分の命を差し出すか、娘の命を差し出すか、どちらかにしろと迫ります。帰ってきた父親の話を聞いたベルは、進んで犠牲になろうと城へと赴くのでした。

ところが、城に着いてみると、ベルは犠牲になるどころか城の女主人として迎えられたのです。夜九時になると現れる野獣も、ベルに対してはとても紳士に振舞い、最初は怯えていたベルもだんだんと心を開いていきました。ただ唯一困ったのは、毎晩野獣が『私の妻になってくれないかね?』と尋ねてくることでした。

城での生活が三カ月経ったときのこと、病床にふせた父親の看病のため、しばらく家に帰りたいとベルが願うと、野獣は一週間後に帰ってくることを条件にその願いを聞き入れます。帰ってきたベルを見て商人は喜びましたが、嫉妬深い二人の姉は、野獣の魔法で王女のように着飾ったベルを妬み、約束を破らせようと嘘の涙を流して引き止めます。そして、とうとう約束の一週間が過ぎてしまいます。

しかし、十日目の夜、ベルは野獣が死にかかっている夢をみて激しく後悔すると、城へと舞い戻ります。そこには夢でみたとおり、庭園で息も絶え絶えに横たわる野獣の姿がありました。「ベルを失った悲しみのあまり、何も食べずに死のうと決意した」と話す野獣に、ベルはその場で妻になることを誓います。すると、野獣は美しい王子に姿を変え、ベルが結婚を受け入れてくれたことで魔法が解けたことを告白します。愛し合う二人は王子の国に帰って結婚し、末永く幸せに暮らしたのでした」

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舞台写真
舞台写真
Photo by 下坂敦俊
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