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ヴェニスの商人
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ヴェネツィアあれこれ
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ヴェネツィアあれこれ
『ヴェニスの商人』の舞台は言うまでもなく、現在世界有数の観光地として有名なヴェネツィアVenezia(英語表記ではヴェニスVenice)。イタリア半島の根元、アドリア海に浮かぶヴェネツィア本島は南北2km、東西約4kmとそれほど大きくはありませんが、中世のヴェネツィアは、共和国としてオリエントとの貿易を手広く行なうなど地中海文化の中心地として栄えていたのです。
運河(カナーレ)、島
運河の両岸には美しい建物が並ぶ

ヴェネツィアと聞けば、まず思いうかべるのは運河を進むロマンティックなゴンドラの姿ではないでしょうか?ヴェネツィアはもともと、蛮族に追われたイタリア北東部ヴェネト地方の民が潟に住み着いたことから発展した国。潟(ラグーナ)は平均水深5メートル、その中に数々の島が点在しています。トーマス・マンの「ヴェニスに死す」の舞台となったリド島もその1つ。ヴェネツィア映画祭もこの島で開催されています。
ヴェネツィアを走る運河は、他の地域のもの
と違い元々自然にあった水路を補強して出来ています。縦横に走る水路とは別に、大きな運河"カナーレ"と呼ばれるのは、現在のヴェネツィアでは3つだけ。運河に面して14〜17世紀の建築物が並び建っており、その美しさは観光客の目を楽しませていますが、沼地に木材の杭を打ち込み、その上に石を積み固めて作られた地盤の上に建てられていることから地盤沈下で床や塔が傾斜していることが珍しくないそう。また、水路が発達したヴェネツィア本島内では自動車の運行禁止。自転車も禁止され、車のなかでは乳母車と手押し車だけが許されています。

元首(ドージェ)
サンマルコ小広場に立つ石柱の上には、聖マルコの象徴・翼のある獅子像がある

ヴェネツィアが共和制をしいた7世紀末からナポレオンの侵攻によって共和国が崩壊した18世紀末まで、この国は民によって選ばれた元首(ドージェ)が治めていました。共和国の最高権力者として治世にあたったドージェの中では十字軍がコンスタンティノープルを陥落した際の中心的人物であった14世紀のエンリコ・ダンドロなどが有名ですが、彼らは一度選ばれると終身その任から離れることは出来ず、また絶対権力を持たないもののその任務は大変重く厳しいものだったと言われています。『ヴェニスの商人』の中でも、借金を返済できないアントーニオーと彼にに対して証文どおりのかたを要求するシャイロックの申し立ての是非を問う裁判において、若い法学者に変装したポーシャの知恵を借り、判決を下すのはヴェニス公(元首)となっています。

商人
作品のタイトルとなっている商人とは、劇中シャイロックから金を借りることとなるアントーニオーたちのこと。現在でもヴェネツィア人は根っからの商人と言われていますが、優れた航海技術を持ち、商業技術を革新させつつ地中海を渡りオリエントとの交易を中心に海運国として栄えたヴェネツィアは、直接税の概念や近代の銀行のシステム発祥の地と言われています。作品中でも、アントーニオは海運業を営んでいますが、その彼の貨物満載の船が難破したため、シャイロックから借りた三千ダカットを返すことができなくなってしまうのです。
三千ダカット
"ダカット"は、14世紀からヴェネツィアを中心に広く流通した24金の通貨。この『ヴェニスの商人』が書かれた16世紀末に近い1570年、ヴェネツィア共和国の収入は総額200万ダカット超とのこと、そのうちの3000ダカットというと・・・・現代の日本に置き換えると、目の飛び出るような膨大な金額であることは間違いなし。その3倍でも払えてしまう財政力と美貌、そして知性と機転を併せ持ったポーシャの元に次々と求婚者が現われるのもうなずけますね。
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