ページ内を移動するためのリンクです。

ヴェニスの商人アントーニオーが、友人サレアリオー、ソレイニオーと話しながら出てくる。アントーニオーはふさぎこんでいる。船荷を積んだ自分の船が寄港するのを、今や遅しと待ちわびているのだ。親友バサーニオー、ロレンゾー、グラシャーノーがやってくる。バサーニオーも浮かぬ顔、こちらは船の心配ではなく激しい恋わずらい。今、アントーニオーの全財産も海のうえ、しかし金を工面して親友バサーニオーがベルモントへゆけるようにしようと約束する。
ポーシャと小間使いネリサが出てくる。「ああ、もうたくさん、<選ぶ>などという言葉は!」日夜ポーシャは婿選びに腐心の態。父の遺言で、金・銀・鉛の三つの箱のうちから正しい箱を引きあてた男を夫に迎えることになっている。この美女と富をわがものにしようと、各国の王侯華族が連日ベルモントを訪れるが、まだ幸運を手にいれたものはない。今朝もモロッコ王が従者を伴って来訪、ポーシャとネリサが迎える。モロッコ王は自分の運命を箱選びにゆだねる決意を示す。
ユダヤ人の高利貸しシャイロックにバサーニオーが三千ダカットの借金を頼んでいる。そこへアントーニオーが現われる。シャイロックはアントーニオーが嫌いだ。「言われるままにただで金を貸し、このヴェニスの利子を引き下げて、おれたちの仲間のじゃまをする・・・今にみろ、ちょいとでも風向きが変わったら、長い歳月積もり積もった恨みだ、たっぷり晴らしてやるからな」と蔭で怨口をたたく。金を貸し利殖で儲けているという理由で、公衆の面前もかまわずアントーニオーたちに罵言を浴びせられてきたシャイロックだが、一文の利子もなしに金を融通しようともうしでる。「おれは今後もおまえを犬よばわりし、唾を吐きかけたり、足蹴にかけたりするかもしれない。だから、もし貸す気があるなら、友だちに貸すとは思わぬがいい。いいか、敵に貸すのだと思え。敵となれば、違約したとき、大いばりでかたが取れるからな」といきりたつのはアントーニオー。そのかたとして、アントーニオーの体から、どこでも好きなところの肉をきっちり一ポンド切り取ってもいいという証文が交わされることになる。