今をときめく影山伯爵夫人 朝子は、かつて新橋の名妓であった。
時は明治19年。
夜ごと鹿鳴館では、国内外の名士を招いての舞踏会が催されていた。
11月3日天長節、この栄えある日の舞踏会を執り行うのは、
朝子の夫、内閣の大臣をつとめる影山伯爵である。
新しい時代の到来をよろこび競って洋装を身にまとう貴婦人たち。
しかし朝子はかたくなに和装をつらぬき、一度として夜会に出たことはなかった。
この日、朝子は友人である大徳寺侯爵夫人から、相談を持ちかけられる。
その娘 顕子の恋を成就させる手助けをして欲しいというのだ。
力強く協力を約束した朝子は、恋の相手の名を聞いて愕然とする。
その名は―― |
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