普遍的な人間の心理を鮮やかに描き出した浅利慶太。
その演出の手法とは――
『ハムレット』は誰もが知る古典の名作であり、さまざまな演出家がその演出に挑んできました。浅利は登場人物の心情とその変化を鮮やかに描き出すことに成功しています。特に劇中の7つの部分で独自の演出がなされ、それは浅利のみが取った手法として、世界中から賞されています。その中のいくつかを紹介します。 |
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(1)「登場人物の関係」を見せる |
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オフィーリアの亡骸を墓に埋める場面。
亡骸の一部を観客に見せる演出は他にもありますが、一般的には死者に触れることはもちろん、それを掘り出すことは死者への冒涜や宗教的問題からタブーとされています。しかし浅利演出ではあえてそのタブーを破り、レイアーティーズが愛する妹の亡骸を抱き上げ、それを挟む形でハムレットが墓に入るという場面に構成しました。横たわる亡骸の上で相対する二人が重なり、お互いのオフィーリアへの思いを語らせることで、両者の関係とオフィーリアへの思いをより深く、重く描いているのです。 |
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(2)「人間の感情」を見せる |
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狂乱したオフィーリアがクローディアスとレイアーティーズの前に姿を見せる場面。

ト書きではレイアーティーズ率いる暴徒が去ってからオフィーリアが登場することになっていますが、浅利は実際に暴徒を王宮に入れ、暴徒とクローディアスなど王族・貴族がせめぎあい、角を突き合わせる状態をありありと見せ付けました。その真っ只中に、あえて哀れなオフィーリアを登場させることで、両者は直にその悲劇的な姿を突きつけられ、怒りに満ちていた者も、互いに悲しみ・哀れみを共有するようになります。人間の怒り・悲しみ・同情などの感情の変化を鮮明に浮かび上がらせ、同時にオフィーリア自身の哀れさ、抱く悲しみをより一層強調して描いた作品として高い評価を得ています。 |
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