ページ内を移動するためのリンクです。

About “A CHORUS LINE” 起点−マイケル・ベネットとのコラボレーション <浅利慶太>

 『コーラスライン』の作者マイケル・ベネットとの出会いを、印象深く憶えている。1979年3月のことだった。

 その数ヶ月前、安倍寧君がニューヨークから戻り、新しい話題作の登場を知らせてくれた。話を聞き終えてすぐ「成功」の予感があった。

 この舞台は、ブロードウェイの底辺に生きるダンサーたちを主人公にしている。様々な州からやってきた17人の個性、独特のキャラクターを生かしつつ、この多人種国家の青春群像を、そしてベトナム戦争の挫折以後の無力感からの脱出を、新しいアメリカのアイデンティティを描こうとしている。スタイルもオーディションという競争の場を設定し、ダイナミックなダンスと重層するヴォーカルを組み合わせた。
 因みに『コーラスライン』は『キャッツ』に破られるまで、ブロードウェイでロングラン記録を保ったが、私には開幕の時点ですぐ、日本の観客にも熱く迎えられるという確信がもてた。

 こういう多層的な構造をもつ作品をつくったのは誰なのか。
 上演劇場であるシェイクスピア・フェスティバル劇場(オフ・ブロードウェイ、グリニッチヴィレッチにある)主宰者ジョセフ・パップ氏の周囲の人なのか。手探りをしているうちに、パップ氏の与えたチャンスの中で、マイク・ベネットという若いダンサー兼振付師がチャレンジしたのだということが解ってきた。
 ぜひかれと連絡をとりたい。安倍君がニューヨークとコンタクトしているうちに、面白いニュースが入ってきた。マイクは今、北京訪問中で、帰途東京に寄るという。では東京で彼をキャッチすることにしよう。

 3月22日、かれと私達は日生劇場の地下のバーで初対面した。
 マイクは疲れているようにみえた。初訪問の北京がかれを疲労させたが、悪いのは北京ではない。このアメリカ人は中国に自分なりの夢を描いていたようだ。あの時期の北京は、かれらの期待に応える歴史的状況になかった。

 アジアの中の西欧の街、東京でかれはわれわれに逢った。

SHIKI ON-LINE TICKET インターネット予約